2012年干潟観察 Ⅰ | ストーン磐座

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今年初めての観察潮位となったので、恒例の干潟観察を行った。
昨年と同じくまだ海水温が低く、干潟が賑やかになるのはもうしばらく先のようだ。
前日酔っ払ってプチ観察を行った際、想定外の結果が出ていて思わず悦にいってしまった。
今年の話をする前に、昨年最後の時点での状況を振り返ってみたい。
http://ameblo.jp/veeten/day-20110702.html
昨年末の観察記録からわかるように、今年は播種の結果を判断するという段階に入った。
一昨年の播種はあくまで部分的で、表面5cmほどのところに埋めてみたが、その最終結果が下記の図である。(11.07.03付けのタグ)
http://www10.ocn.ne.jp/~veeten//slo/amamo/kansatu11.htm
図中にあるグリーン点線内の播種地点からすると東南方向に分布が集中したが、初めての播種だったのでそんなにうまく種が流れつくものなのかについては昨年の時点では判断が出来なかった。
そこで昨年は本格的に三種の深さで直線上に播種して発芽状況を確認することにした。
そして一冬を越してこの春、想像以上の結果が出てきたという状況から今年の干潟観察が始まったわけだ。
各地で取り組まれているアマモ場再生事業は、賛否両論あって方法論的にはまだ確立していない。
その中で、例えば香川県の水産試験場の例を取ってみるとこのような方法が行われている。
http://www.pref.kagawa.jp/umidukuri/repo-to_amamo/repo-to_amamo.htm
昨年このHPを見ながら色々と作業工程をイメージしてみたのだが、おおよそ個人で行うには工程が複雑過ぎて、設備や経費がかかりすぎる。
趣味の範囲で持続可能な方法を目指すという方針からすると、ハイコストハイリターンは却下、趣味の世界では結果はともかくローコストでないと続かない。
昨年の春、干潟王子の岡田君と一緒に干潟観察してから種へのシフトに思い至り、ダメもとで一昨年水産試験場で行われているような採種選別工程をすっ飛ばして、直播きという荒業に打って出た。
今年はまだ始まりの段階なのだが、予想をくつがえしかなりの高確率で発芽してしまった。
まあこの密集した生え具合をご覧あれ、ほとんどスプラウト状態だ。
今年これだけ生えたということで、一昨年の播種効果は埋めた深さに原因があったのではないかと思われる。
つまり、種を蒔く深さが足りず表土が波や台風や大雨の流水によって流され種が流出し海底を漂ったが、意外と流動性は低く、冬場の北西風の波で陸側に寄せられた種が南東方向に分布して定着し発芽したのではないだろうか?
昨年、10cm、15cm、20cmの三段階の深さに分けて播種した結果に、今のところさほどの差異が認められないことから深さ的には10cm超あれば問題ないようだ。
ただこれは今年偶々うまくいっただけという可能性はあるので、今年の生長具合の経過観察と、少なくとも数年に渡る比較検証を経てでないと結論は出せないと思う。
ということですでに頭の中では来年の春を妄想してる訳だけど、来年の作業方針の判断材料として、テストパターンを試みることにした。
このアマモ、見ての通りイネ科と同じ単子葉類の草本で根は苗とほとんど同じヒゲ根である、そしてアマモが植わっている干潟は潮が引いた時には丁度田んぼに水を張ったような状態になる。
ということで、田植えというキーワードが自然に出てきた。
田植え感覚でアマモの定植作業が出来たら楽しいし、好きなところに植えられて試験パターンのバリエーションが増えてこれまた結構と思った次第。
とりあえず試験的に今回発芽したABC三列のラインの側にAラインより間引いた45本のアマモ苗を田植えパターンで植えてみた。(Sライン、12.04.09日付けのタグ)
http://www10.ocn.ne.jp/~veeten//slo/amamo/kansatu.htm

昨年末の観察記録でも述べてるように、この干潟のアマモは夏場の高温障害によって地下茎を保持出来ない一年生の脆弱な条件下にある。
今は毎年人為的に植えることによってある程度の個体数を維持しているが、もちろん持続可能な方法ではない。
この干潟で一年生のアマモが継続的に存在するには、種がこの干潟に留まることが必要条件、花が咲き種を残し、その種が自然定着するという本来自然なサイクルでありながら、現状では難易度の高い状況が必要ということになる。
まあ妄想は膨らむばかりですが、とりあえず今回田植えパターンを試してみて、定着するようであれば、次回連休明けの最大潮位の時に少し沖合に更にアマモ田植え試験をすることにしようと思う。
しかし性急に結果を求めてはいけない、欲張って一度にあれこれし過ぎると、いったい何がどのように作用したのかがわからなくなってしまう。
アマモの場合最低でも1年サイクルで結果が出るので、一つ一つのプロセスをじっくりと丁寧に行なって、試験結果の正確な評価を得ることが結果的に早道となる。

最後に今までに何度も述べてることですが、ヤポネシ屋亭主のアマモ観察は自然保護活動ではありません。
あくまで個人的趣味で、動機は単なるノスタルジーです。
幼い頃に遊んだアマモ場の光景を、今は失われた同じこの干潟でもう一度見てみたい、ただそれだけです。



ストーン磐座-120409_172010

見事に発芽したアマモ、スプラウト状に密生してる。

ストーン磐座-120409_172109

今のところ太さはこの程度、これからぐんぐんと大きくなります

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きれいにライン状に発芽している

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稲のようなひげ根、よく見ると若い芽が出てきている

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田植え感覚で移植してみた