2012年干潟観察 Ⅱ | ストーン磐座

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スーパームーンの影響なのか潮が今一引いていない。(通常より20cmほど高くなるみたいだ)
http://macroanomaly.blogspot.jp/2012/05/2.html
連日の大風で海草が打ち上げられていたり、雨でにごりが入っていたりと観察条件としてはあまり良くない。
本来ならアマモ田植えテストをするつもりだったのだが、田植え予定地は出現していないのでとりあえず個体数のカウントをメインに行った。
種から発芽したアマモは約一月で順調に生長分けつ(こう表記してもいいのだろうか?)し、最長で40cmほどになっていた。(地下茎で発芽した場合はもう1mほどに生長しているはずなのだが)
個体数は昨年と比べて10倍ほどに増えたのと密集しているので正確にはカウント出来ないがアバウトな感じでも順調に増えている。(個体数推移参照)
http://www10.ocn.ne.jp/~veeten//slo/amamo/kansatu.htm
ただ今年のポイントは種なので、このうち何本花が咲いて種になるかがこれからの楽しみだ。
そうはいうものの、やや不自然な配置ながら群生しているアマモの現物を見ると嬉しくなる。
アマモの回りではちっぽけながら一つの生態系が繰り広げられている。
アマモが生えていることによって、アマモの影に巻貝がひそんでいたり、ウミウシの卵塊が巻き付いていたり、アマモより陸がわに波を避けるようにタマキシゴカイの卵塊が産み付けられていたり、ミズヒキゴカイが棲みついている。
群生した一体はしっかりと根が張っていて、明らかに他の砂地とは砂の状態が違っている。
そして定番、ヒメイカの卵塊がアマモの葉の上に産み付けられていた。
ヒメイカは体長20mmほどの日本で見かけられる最も小さいイカで、アマモ等の海草に身を潜め卵を産み付ける。
http://blog.goo.ne.jp/ryu-oumi/e/7c8103d4ac8936117fa33a8acaf9928d
アマモと非常に相性の良い生物で、その証拠に初年度数十本しかないアマモに卵を産み付けて以来毎年どれかに産み付けてくれる律儀なパートナーだ。
http://ameblo.jp/veeten/entry-10082894566.html
アララトの干潟観察の様々な苦労(でもないかな?)はこの卵塊を見ただけで十分満たされる、もっと言えばこのヒメイカの為にアマモの繁殖をしてるといっていいくらいだ。
造成したアマモ場の他ににもポツポツと自然定着したアマモが生えていた、今年は種メインに方針転換しているのでざっと一回りしただけだが、それでも16本ほど生えていた。
コアマモは、今まで安定して繁茂していたのが一昨年の猛暑で昨年消失しかかった、本来アマモより希少種なので、今年からアバウトながら個体数をカウントすることにした。
ちなみにコアマモは汽水域を好むみたいで、地下水の流れのある狭いエリアにしか生息しない。
この干潟は山からの栄養が地下水で流れこんでいたり、漁師街なので不要になったチェーンやらの金物がそここに散らばったりしていてコアマモやアマモの生育に必要な鉄分は十分あるようだ。
今日出来なかったアマモ田植えテストの趣旨は、種を植えられない沖合いに生長株を定植して、そこで開花し自然播種されて波のよって陸がわに打ち寄せられてくる偶発的ケースを想定している。
かなり難易度は高いが、一応トライする価値はあると思うので、明日明後日の低潮位に期待するとしよう。
実は今日島の反対側にあるアマモ場を観察していてまた一つアイデアがひらめいた、来年の展開に生かせるようにもう少し考察してみたいと思う。
観察を終え、帰り際にもう一度アマモ場を見ると、潮干狩りに来た誰かがアマモ場を掘り返していた。
幸いかろうじでアマモから外れていて一安心、そりゃまあ普通の人にはこんな海草なんか邪魔になるだけでしょうから。
でも、干潟はみんなのものなので責めることは出来ません、もし掘られても埋め戻すしかありませんね。



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スーパームーンのせいか潮の引きが今一

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成長したアマモ、最長40cmくらい

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ウミウシの卵塊

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タマキシゴカイの卵塊

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巻貝がひっそりと

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きゃっほ~、ヒメイカの卵塊

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自然定着したアマモ

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コアマモも生えてきた

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危うく掘り返されそうになったアマモ